最近は人物を続けて描いてましたけど、そりゃ、やっぱり乗り物も描きますよ。
このシトロエンの2CVっていうクルマは1990年まで40年以上作られた超ロングセラー商品で、いわばフランスの国民的クルマなんですね。
クラシックなカタチをしている割に、近年まで作っていたので多分大抵の人がホンモノを見た事があるんじゃないでしょうか。
僕は子供の頃これを見掛けると「なんてカッコ悪いクルマなんだろ」と思っていましたが、大人になって自動車のカタチに興味が出てくると「すげー良くできてるなぁ」と感心するようになりました。
確か、これは当時のシトロエンのエラい人が、第二次世界大戦後で疲弊していたフランスの農民でも買えて、それで配達もできて、なんならバカンスにも行けるような簡素で安いクルマを作ろうっていい出したところから開発したんだったと思うのだけど、その時に技術者にイメージを伝える際に「こうもり傘に車輪が付いてるようなクルマ」って伝えたっていう伝説があって、それを聞いたときに僕は、確かにそんな感じだと合点がいったのをよく覚えています。
この時に、他にも具体的な数値目標(60キロで走れるとか、車体重量300キロ以下とか)も示していたそうなんだけど、これは自動車の機能としての最低限を規定したってことだったと思うわけなんです。
モノづくりって、良くしようとして最大限を目標値に据えるのが一般的だと思うのだけど、こいうやり方ってすごく先進的というか鋭いなぁと感心しちゃうんですね。
で、技術者の人たちが相当がんばって、それを粗方クリアしてこのクルマになったってことなんだけど、どうもこのあたりから既にフランスの「簡素だけど実用的でおしゃれ」な芸風は始まっていたんだなぁと思うわけです。