デザイン観測

デザインもの(乗り物関係が多くなるのかなぁ)について書いたり描いたりして自分なりに理解していく備忘録的な感じです。絵は15分以内で描くのをゆるいルールにしてます。あ、面白ハンコ屋さんの中の人です。http://www.hankopla.net

『カメラを止めるな』の最遅感想【才能と熱量に感服した】

この間、つうかホントは8月に映画『カメラを止めるな』を観たわけなんですが、その後あれこれ慌ただしくて、ここに載せられずに時間が経っちゃってタイミング的にはすっかり遅い感じなっちゃいましたが、ホントに噂通りとても面白かったです。アイデアとか熱意とか、そういうあれこれを映像にまとめる才能とか、あと何より「映画をつくるのが好きだ」っていう心意気みたいなのをうんと感じました。

何かをつくるのって、ある種の人たちにとってとても楽しいことで、それってハタから見るとメンドくさかったり大変だったりすることでも嬉々として取り組めちゃう「楽しさが勝っちゃう心」が原動力になっていたりすると思うのだけど、そんな「それをするのに向いている人」が色んなモノづくりの現場に混じっていて、制作とか開発を支えているんだと思うんですね。

で、次に課題となるのが、つくったモノが世間に喜ばれるかるかどうかになると思うのだけど、そこは社会の流れとか世の中の気分とか、あとやっぱり時の運とかを感じ取れる冷静さとかサジ加減とかバランス感覚みたいなものが大事なんじゃないかと思います。

もちろん、自分が作りたいものと世の中が欲しいものがピッタリ合致していたら、それが理想的だけれど必ずしもそうはならないというか、そうじゃない場合が基本になるとしたら、何を重視するかとか、どう両立するかとか、あと、やっぱりどうあきらめるかみたいな取捨選択的な悩みがたくさん発生すると思うのだけど、そんなあれこれに対処する場面のあちこちに悲喜こもごもがあったりするような気がします。

そういう意味では、この「カメラを止めるな」はヒットを狙って商品企画的に撮ったというより、まだ有名じゃない人たちが低予算で、そういう悲喜こもごもに対して熱意を持ってなんとか対処する姿を描いた映画としてリアルに刺さるみたいなとトコがポイントで、むしろ潤沢な予算編成で制作されなかったからこそ伝わったんじゃないかと思います。

そんな背景もあってか、僕の狭い情報網に届く評判の中に「刺激を受けた」とか「おれも頑張ろうと思った」とかっていうのが一定数あったような気がするのだけど、実際に観てみると、すごく面白い映画でドキドキしたり大笑いしたりした一方で、そういう意表のつき方とかアイデアとかにすっかりやられて、映画の観客としてはめちゃくちゃ楽しめたけど「同じクリエーター目線」みたいに処理するのはムリだったなぁ。

むしろ才能と熱量に感服したっていうのが正直な感想です。

あ、それと「こういう内容だから面白い」ではなく「とにかく面白い」的に大事なとこをちゃんとボカして取り扱うモラルのある人たちが初期にザワザワしてくれたのも実は大きいような気がします。

時々出くわすことがあるのだけど「知ってっか?あれは今すげーんだぞ、何しろアレがこうでコレがこうなっててて、しかも裏にはこういう仕掛けがあってだな…」みたいに「自分が知っているコト」を見せびらかすタイプが初期に大量発生していたら、この映画はものすごく台無しな感じだったと思うのだけど、その辺をきちんと考慮して「あれは超面白いから見た方がいいよ」的な気運を作ってもらえたのがホントに良かったんじゃないですかね。

その結果、なんかこう「作るのが好きな人たちの映画が、観るのが好きな人たちにキチンと届いた」って感じ自体が美しいみたいな風に思いました。

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