この人はもう間違いなく伝説の天才なんだけど、正直にいうと子供の頃は良さが分かりませんでした。
当時既に亡くなっていたし、もっとキャッチーでわかりやすい音楽とかギタリストとかが、たくさん登場していたので、どういう風に理解したらいいのかサッパリわからなかったわけなんです。
でも、当時の若手バンドマンにとってジミヘンは信仰みたいなところがあって、引き出しとして身につけておいてジャムセッションの時に軽く繰り出したり、居酒屋で語ったりしないといけない存在だったんですね。
ところが、不思議なもので大人になってくると良さ、というか凄さが少しずつ分かってきて、ある日「やっぱヘンドリクスさんはすげーな」と気がつく感じの人なんだと思います。つうか僕にはそんな感じ。
音楽的には、この人独特の目的みたいなものがあって、それを聞く側も身につけていないとチンプンカンプンになってしまうので駆け出しの僕には、そりゃ分からんかっただろと今は思うけど、当時、僕の周りにいた連中も絶対分かっていなかったと確信しています。
多分、なんとなく分かっているフリをしないといけない「踏み絵」的な側面がけっこうあったんだと思います。
それでも、後世に与えた影響はかなり大きくて、僕は油断するとこの人が使っていたコードを押さえちゃうことがあるし、てっきり自分も27歳で死ぬんだろうなぁと思っていました。
こういう人も意外と多いんだろうなぁと、これも確信しています。