最近気に入っている茶色のペンの攻略も兼ねて、そろそろ何か乗り物が描きたいなぁと思っていたところ、あれこれ考えて、このクルマにしてみました。なんかこう色々大変な時代になってきたので、こういう先駆者的でプリミティブで、でも可愛くて優しくて楽しそうなカタチのクルマがピッタリなんじゃないかと思ったわけなんです。
1958年から販売されて初期のモデルは16馬力しかなかったのだけど、大人が(キツキツでも)4人乗れてモビリティとしての機能をちゃんと果たしているというのは大発明だし、当時の日本市場の経済状態とか気分にピッタリとハマった商品企画だったんじゃないかなぁと思います。
普通の家庭でもなんとか買えて家族で出掛けたり、そういう楽しいシーンにクルマが登場し始めた最初の頃の一台だと思うんですね。
今の基準ではもちろんエンジンのチカラが足りな過ぎたり、エアコンとかパワーステアリングはもちろんABSとか追突予防の装置とかもないので色々とアレなのかもしれないけれど、自動車の根源的な機能はちゃんとあるなぁとあらためて思うわけなんです。
そんな自動車のそもそもの機能とか価値って、一番ベーシックなトコからいうと「徒歩より楽ちん」とか「雨風をしのぎながら移動できる」あたりから始まるんじゃないかと思うのだけど、このクルマはそういうのを見事にクリアして、さらにいくつかのプラスαまで持っていたから工業製品として評価されたんじゃないかと思うんです。で、そのプラスαのひとつは間違いなくこのカタチだったんでしょうね。
一方、クルマっていつからか「付加価値」に向かったので、相対評価っていうのかな他のヤツよりパワーがあるとか快適だとかイバリが効くとかみたいなトコを買う側も作る側も重視する傾向で進化したので、そもそもクルマに求める要素がややこしくなっちゃったんじゃないかと思うわけです。なんかこうカタチも含めて他者への威圧感をにじませた機種が増えたのはそんな理由もあったりするのかなと。
そんな時にこの小さな軽自動車を見ると、クルマの本質的な意味について純度が高いっていうか「付加」したものをどんどん削ぎ落としていった「芯」みたいなものを見せてくれているようでハっとするんですね。
なんかそういうのって、今回のコロナ禍が過ぎた後のモノとか気持ちのあり方の参考になるんじゃないかと、なんなく思うわけなんです。