デザイン観測

デザインもの(乗り物関係が多くなるのかなぁ)について書いたり描いたりして自分なりに理解していく備忘録的な感じです。絵は15分以内で描くのをゆるいルールにしてます。あ、面白ハンコ屋さんの中の人です。http://www.hankopla.net

上白石萌音のビジュアル的な解釈【リアルな好感力】

今月から始まったNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」には、もうすっかりグイグイ引き込まれているわけですが、すごく精密で丁寧な作りにになっていてびっくりしています。15分でこんなにやれるもんなんだなぁと。
なんかこう、キャストとか脚本とかを含めて「弱点がない」っていうのかな、登場人物にみんなキチンと役割りがあって全員が機能している感じがすごいなぁと思うんですね。
特に主演のこの人については実は大人気だったTBSドラマ「恋はつづくよどこまでも」を僕は観ていなかったので、ほとんど予備知識がなかったのだけれど、こういう精密で丁寧なドラマで主役を張るのにふさわしい、すごい女優さんだったんだなぁとあらためて思いましたよ。
完全に和菓子屋の娘の安子に見えるし「楽しい」とか「哀しい」とか各レンジの強弱がシームレスで、ゆえに観ている側の気持ちとかペースにしっかりとリンクして、ふわっと、でも着実に物語に乗せて行ってくれる感じっていうのかな、そういうチカラがある感じで。
その原動力というか土台になっているのが、この人が醸し出している「好感力」なんじゃないかと僕はニラんでいるのだけど、容姿とか声とか表情とか立ち振る舞いに「応援したくなる」とか「無条件で幸せを願っちゃう」気配とか成分が含まれているっていうのかな、要は「姪」とか「いとこ」とか「親友の娘」とかくらいのリアルな距離感で気にかけちゃう要素が配合されている感じがするんですね。
なので今、物語りでは大変な局面だけど、きっと観ている人は全員応援しているんじゃないかな。少なくとも僕はそうだなぁ。
おはぎだって無性に食べたくなったし。これも、きっと観ている人は全員そうだと思うし。

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ダニエル・クレイグのビジュアル的な解釈【正にシン•ジェームズ•ボンド】

この人以前の007シリーズって、ジェームズ•ボンドがもっとこうニヤけてた気がするのだけれど、この人になってからシリアス風味が増えたっていうのかな「本格スパイ映画感」がグッと濃くなった気がします。全然笑わないし。
で、僕はそういうスタイルがとても気に入って、この人の007シリーズは全部劇場で観たわけなんですが、もちろん今やっている「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」もコロナの緊急事態宣言が明けた後に観に行きました。
タイミングが良かったのか席も空いていてゆったり&集中して観る事ができた幸運もあるとは思うのだけれど、映画そのものがとても僕の好みの感じで、多分二年ぶりくらいで劇場に行って観る映画としてはホントにサイコーというか正に「映画を観たなぁ」っていう心のスイッチをしっかり押してもらえた気がします。
ストーリーとか内容について触れるのは野暮なので横に置いておきますが、これまでの007シリーズのオマージュ的なトコもあったりして集大成感は素晴らしいと思ったし、これは僕だけなのかも知れないけれど「カリオストロの城」を連想するシーンがいくつかあった気がしました。
あと、やっぱりこの人の「画面のおさまり力」っていうのかな観客を静かにかつ強力に引き込むチカラはすごいなぁと思ったし、ちょっとこう特別な俳優さんだと思うというか観ておいてホントに良かったなぁと思う一方、次のジェームズ•ボンド役を引き受ける俳優さんは大変だろうなぁと老婆心ながら思いました。

それとは全然関係ないのだけど、二回目のワクチン接種の副反応で熱は出るし筋肉は痛いし更に頭は超痛いしで二日寝込んでエラい目に遭いましたよ。みなさんもどうかご自愛くださいね。

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小鉄のビジュアル的な解釈【ウチの二代目ラッキーキャット】

ウチには一昨年、デパートに岩合光昭さんの猫の写真展を観に行った時に同時開催されていた保護猫譲渡会で出会って引き取ることにした二歳の雑種猫の小鉄(こてつ)がいます。生後二ヶ月程でウチに来た時は兄弟と別れて全然知らない所にホリ込まれた寂しさから、三日くらいずっと泣いていましたが。その後はすっかりウチに馴染んでくれて、今では完全に我が物顔で相当元気に暮らしてくれています。

基本的に人間が好きなタイプのようで、来客があるとにじり寄っていって「とりあえずだっこしてくれ」という意味の意思表示をすると、みんなそうしてくれるので本人もご満悦で来客もメロメロになるという好循環になっている感じなわけですが、あの「人たらし」の能力は僕もホントに身につけたいと思うわけなんです。

元々、ウチにはゴルゴ(通称ゴンゴン)という真っ白でハンサムな猫が生後一ヶ月くらいから僕の膝の上で老衰で亡くなる(この時は体の水分が無くなるんじゃないかってくらい泣いた)まで23年間一緒に暮らしていたので猫には慣れていると思っていたのだけれど、同じ雑種のオス猫でも個性は随分ちがうもんだなぁと、あらためて思っています。ゴンゴンも特に人見知りではなかったけれど、もっとマイペースというか自分の世界があるタイプだった気がするし、それがまた良かったというか猫ってそういうもんだと思ってたんですね。

で、ウチの場合は「猫を飼う」という感覚より「猫と共に暮らす」というか「猫の人生の登場人物になりたい」感じなので、以前はゴンゴンが、今は小鉄が快適に日々を過ごせたら充分だという流派で、ケガに繋がるようなよっぽど危ない事(猫は想定の斜め上の事を時々やらかす事がある)以外は何でも好きにやってもらっております。

おかげで僕の超お気に入りのソファ(ハーレーを買った時より嬉しかったヤツ!)が爪研ぎでボロボロになってきたけど。

てか、ゴンゴンがいる頃にこういう絵を描くブログをやっていたら、あいつの絵も描いてあげられたのにな。

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笑い飯のビジュアル的な解釈【漫才師ズ漫才師】

この間、この人たちのライブを観てホントにサイコーだったので実は既に他の人の絵を描いてあったのだけれど、あんまりサイコーだったので居ても立ってもいられず横入りしてお送りします。ただ、あれです冷房システムのない作業環境にヘコたれて今回の絵は色なし仕上げとなっております。暑さで紙が腕にくっついちゃって「イー!」っとなっちゃうんです。

で、僕はこの人たちの漫才がとても好きで強烈に面白いと思っているわけですが、とにかくネタにしろ存在感にしろ独特でしょ。

スタイルとしてはよく「ダブルボケ」といわれるのだけれど僕としてはシチュエーションとかお題に対して二人で大喜利を繰り広げる感じっていうのが正確じゃないかと思っています。そういう意味では確かに二人ともボケるのだけれど、その回答もそれに対するリアクションも共にボケになっていて、本質的なツッコみはお客さんが担っているっていうんでしょうか、要は最終的な「なんでやねん」も「どないやねん」も観ている人の脳内に発生する仕組みになっているトコがすごいなぁと思うわけです。これって観る側の成長とか進化も重要なポイントにもなっている気がするのだけれど、この人たちは多分そういう観客の準備が整う以前からこのスタイルで客席にビシビシ豪速球や変化球を投げ込んでいたんじゃないかな。それが徐々に理解されて今やたくさんのお客さんがガシッとキャッチできるようになってきたような気がします。

なので初期の頃は劇場とかライブとかと地方営業の温度差が大変だったんじゃないかなと思ったりします。

それと、この人たちは芸能人になりたくてお笑いを選んだのではなく、あくまで芸人とか漫才師になりたくて更にその中で自分たちの「面白さ」を試したり追求するとこにフォーカスしている感じが強くて、そういう点が求道的というかハードコアというか、とにかく徹底している気がします。もしかすると、その辺が養成所出身と気配が違う感じの原泉なのかな。

そんなトコが音楽でいう「ミュージシャンズミュージシャン」みたいに「プロの間で支持される」的な意味合いでの「漫才師ズ漫才師」的な立ち位置にこの人たちを押し上げているんじゃないかと思うわけなんです。

あと、この人たちを観るとつくづく思うのだけれど「大喜利」って義務教育にしたらいいんじゃいかな。そうしたらトラブルとかが起きても笑いに転嫁できる能力がグッと高まるでしょ。そうなれば多分、人々の生活の平和度も相当向上するんじゃないかと思うんですよ。

あ、大学に「大喜利学科」とかあってもいいくらいかも。そういう能力は実際とても役に立つので経済とか経営とかより、むしろ就職に有利になる可能性もあるんじゃないかとすら思っております。

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江口のりこのビジュアル的な解釈【無表情と微表情の使い手】

この人を初めて見たのはドラマ「時効警察」のサネイエさん役で、それはもう、とても印象的だったのだけれど、その後グイグイと僕が観るドラマや映画の重要な役で登場していて、ここ最近は毎シーズン途切れることなくドラマのどれかにキャスティングされていて今や相当な売れっ子女優さんになっているんですね。

今期でいえばドラマ「ソロ活女子のススメ」で主演しているわけですが、思えば僕も旅へ行くのもバイクに乗るのも活動の大半が一人だったので、ソロで活動する気楽さとか自由さみたいなのはとても共感できる気がして毎回しっかり観ています。あ、女子ではないのだけれど。

このドラマでのこの人は正に役にガシッとハマっているというか他の役者さんでは成立しないとすら思うくらいピッタリだと思うわけですが、考えてみるとこの人が担当する役っていつもそう感じられるし、さらにリアルな人物像としてスルっと入ってくるのは、この人の能力が相当高いのと、そういう点を制作側にとても頼りにされているんじゃないかと僕はニラんでいます。

本質的にクセの強い役が多いと思うのだけれど、そこをキチンと「あ、でもなんかわかる」に着地させられる女優さんとして独自のポジションを確立できているところがすごいんじゃないかな。

あと、役者さんの歴史には「表情を大きく」とか「表現を力強く」みたいな基礎ルールみたいなのが色濃くあったような気配を時々感じるのだけれど、この人は無表情と微表情を見事に、かつ独自のレシピで使えるでしょ。そういうのって「観る側」の人たちの読解力が進化してくると「善意」にも「悪意」にも「興味あるぞ」にも「なんやそれ」にもキチンと感じ取ってもらえるようになった気がするわけですが、そこに踏み込めている数少ない女優さんになっていると思うわけなんです。

それと、この人が出ていると高確立で僕の好きなドラマになっている気がするのだけれど、もしかしたら、そう思う人も結構多いんじゃないかな。なんとなく。

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