デザイン観測

デザインもの(乗り物関係が多くなるのかなぁ)について書いたり描いたりして自分なりに理解していく備忘録的な感じです。絵は15分以内で描くのをゆるいルールにしてます。あ、面白ハンコ屋さんの中の人です。http://www.hankopla.net

染谷将太のビジュアル的な解釈【自肩が相当強い】

今期のドラマでは日テレの「ブラッシュアップライフ」がとても気に入っていて毎回キチンと観ています。
バカリズムさんの脚本が見事なのと、出演の安藤サクラさんとか夏帆さんとか木南晴夏さんとか僕の好きな役者さんだらけで安心してストーリーに乗っかれる感じっていうんでしょうか。
中でも「福ちゃん」役のこの人はやっぱり物凄い存在感でホントに上手い俳優さんなんだなぁと、あらためて思ったわけなんですが、要はあれこれうまくいかないけれど特にそのために努力するわけでもなく表面上はとりあえず調子良さそうにやり過ごす的な「今」のあるある的な人物像をリアルに描いてみせてくれている気がします。
そういう平凡であるある的なキャラクターってホントはとても難しいと思うわけだけど、そういう高度な役をこの人くらい鮮やかに演じられる人はあんまりいないんじゃないかと思うんですね。一方で狂気とか殺気を伴う極端な役もガシっと対応しちゃうし。
きっと職業意識っていうのかな、要は俳優をして人気を集めてチヤホヤされたいみたいな意識じゃなくて、物語の登場人物として自分を最大限機能させたいみたいな精神が土台にあるような気がするので、その辺のコンセプトがそもそも違う流派の人の感じがします。
そういう覚悟みたいなものの用意のない役者さんは、実はこの人と共演するのはコワいんじゃないかなぁ。僕ならコワいなぁ。


あ、お正月にやっていたNHKの時代劇「いちげき」も相当良かったですよね。

新年のごあいさつ【卯年って事でやっぱりラビット】

毎年、描き初めはバイクにしているので「うさぎ年」にちなんだバイクを思い浮かべるとやっぱりこれになりました。つうか他に思いつきませんよね。

僕は結構いろいろなバイクに乗った事があるのだけど、これは全く未体験なわけですが2000年代初頭にはまだ時々都内で見掛けたりして、その度に「いいなぁ」と思っていました。「部品とかどうしてるんだろ?」とも思いましたが、どの個体も結構元気に(または普通に)走っていたので、きっとオーナーががんばって整備してるんだろうなぁといつも感心していました。

そんな風に何十年も前に作られた乗り物を、しっかり維持して普段使いにするのってとてもかっこいいし、そういう愛すべき存在感を持っている機械って残るべくして残るっていうんですかね。クラシックとかビンテージとかっていうより文化な感じがするなぁと思うわけなんです。

そういうのを新年初回の描き初めにするっていうのは、何だか感じがいい気がしています。

そんなわけで今年もよろしくお願いいたしますね。

 

福原遥のビジュアル的な解釈【スーンとした表情を持っている】

久しぶりにNHKの朝ドラを欠かさず観ていますが今期の「舞いあがれ!」はとても気に入ってます。いやホントは録画して晩ご飯の時に観ているので正確には晩ドラなんですけど。
NHKの朝ドラの特徴だと思うのだけれど幼少期担当の子役の子がやたらとかわいくて「朝に観るのにふさわしいなぁ」と思っていたわけですが、成長してからのヒロインのこの人も正に「朝に観るのにふさわしいなぁ」と(ホントは夜に観ているくせに)思っています。
15分の連続ドラマって全体で観ると長いストーリーになる一方で、一話ごとではその中に起承転結とはいわないまでも「起承」とか「承転」とか、要はメリハリとかヤマタニとか何なら伏線とかを盛り込まないといけないし、あとやっぱり登場人物のキャラクターの立たせ具合なんかも含めた総合的な建て付けで「引き込み力」を組み立てるモノな感じがするわけですが、この人は正にその中心でしっかり機能する女優さんな気がします。
それと、この人を観てちょっと思ったのは主役級の美人女優のカテゴリーって、ここしばらく「クール/美人」とか「活発/美人」とか「おっとり/美人」あたりが主軸だったような気がするのがけど、そこに「可憐/美人」ポジションがあったのを再発見するっていうのかな、意外とこの枠って長い事空席だった気がするわけなんですね。
あ、あとこれはうまく言語化できるか自信がないのだけど、この人は喜怒哀楽の表情がシームレスでとても緻密だと思うのだけど、更にその中に含まれていない、またはどれも含んでいる感情を示す表情を持っている気がするんですね。「ガラスの仮面」でいうと黒目をあえて描いていない瞬間とか「ちびまる子ちゃん」でいうと、おでこから目にかけてタテ線が入るような場面とか、そんな名前のついていない情緒を表現する時に繰り出せる表情を持っている感じがするんですね。なので言語化をあきらめて僕なりのオノマトペでいっちゃうと「スーン」とした表情なのだけど、うまく伝わるかどうかはさておいて、そういう表情を持っていることは、この人の強みなんじゃないかと思っています。

「シーン」でも「ソーン」でもなくて「スーン」なんですけど、やっぱりわかりにくいですかね?

 

ダウンタウンのビジュアル的な解釈【局面に対応する性能】

だいぶ昔の話ではあるのだけれど、この人たちには仕事で2~3回お会いした事があって、とても嬉しかったのを覚えています。
その頃は、まだ現•吉本興行社長の岡本さんがマネージャーで松本さんがツヤ消し黒のカマロ、浜田さんが茶色のセドリック(多分)かなんかに乗っていたような気がします。
当時から僕はこの人たちがとても好きで、なんかこう「笑い」のフェーズをガラっと変えちゃうチカラを発散している感じがしたというか「面白い」という事の定義を新しく作り出すようなオリジナリティとか体幹筋の強さみたいなものを感じていたわけなんですね。
なんていうか、それ以前はざっくりいうと「笑い」って「滑稽」の要素を主成分にするのが王道とか主流だった気がするし、今もその流れ自体はしっかり残っているとも思うのだけれど、この人たちには、そういう方向のいわゆるギャグとかキメのフレーズを使わずに笑いを展開できる足腰の強さみたいなものがあって、そりゃフリートークとかMCとか局面に対応する性能が飛び抜けているわけなんだなぁと思いました。

あと、そんな名刺代わりのギャグとかフレーズみたいなものを全然持っていない一方で、この人たちから浸透した言葉が今や沢山ある気がするのだけど例えば「寒い」とか「滑る」とか「ドヤ顔」とか、あと今やすっかり標準語化している「めっちゃ」とかも僕の観測ではダウンタウンが発生源だった気がするので、そういう意味でも、この人たちが時代とか文化にもたらした影響ってとても大きいし、そういうあれこれのおかげで「笑い」のストライクゾーンっていうか観る側の受信力を拡げてくれた感じが僕なんかはするんですね。

あ、仕事でご一緒した時のエピソードは僕がいつかノーベル賞かなんかを受賞してワイドナショーとかにゲスト出演した時に、あれこれ尾ひれ尾を付けてお話ししたいなぁと思っています。3000年くらいかかるかも知れないけれど。

 

仲野太賀のビジュアル的な解釈【エキセントリックも普通も】

この人を初めて認識したのはドラマ『ゆとりですがなにか』で「ゆとりモンスター」をものすごく強烈に提示していた時で、あの役って程度の差こそあれ「そういえば、あれ的な人は確かにいるよなぁ」っていうキャラクターをストーリーの中にリアルに出現させた最初の試みだった気がするのだけど、それ以前にはテレビドラマに、ああいうタイプの存在って多分登場してしなかったと思うので、きっと参考になる前例とかサンプルなしで台本を読み込んで自分で考えて役作りしたんだと思うわけなんですが僕は即座に「すげーな!」とか「タダモノじゃねーな!」と感服しましたよ。
その後、色々な作品に出ているのを観るようになったわけだけれど、なんていうか役者さんて役の守備範囲っていうのかな、要は受け持つ領域が決まってくるような気がするのだけど、この人の場合は「にくたらしい人」でも「すごくいい人」でも、その背景に「得体の知れなさ」とか「切なさ」とかをリアルに配合させて幅広く深く対応できるチカラがあるっていうのかな、とても巧い俳優さんだと思うわけなんです。
 林 遣都さんとダブル主演する今期のドラマ『初恋の悪魔』でもそれは見事に発揮されていて、主要登場人物の中で一番平凡なのに中心となる難しいキャラクターをガシッと際立たせていると思うんですね。実は平凡な人ってきっと一番むずかしいと思うし。
そういうのって「台本の読解力」とか「物語りが要求するキャラクターへの感受性」とか「それを実体化させる技術」とか、あとやっぱり「俳優としてのプロ意識」みたいなのが必要なやつだと思うのだけど、この人はその辺を「全部のせ」できている役者さんなんだと思うわけなんです。
あ、僕は坂元裕二さんが脚本を書くドラマに好きなのが多い(カルテットとか大豆田とわ子と三人の元夫とか)のだけど、素晴らしい脚本って楽譜みたいなもので、いいプレーヤーがどう解釈して演奏するかで出来映えが大きく違ってくるんような気がするんですね。
そういう「いいプレーヤー」のひとりのポジションにこの人は居るような気がするんだけど、どうすかね?