デザイン観測

デザインもの(乗り物関係が多くなるのかなぁ)について書いたり描いたりして自分なりに理解していく備忘録的な感じです。絵は15分以内で描くのをゆるいルールにしてます。あ、面白ハンコ屋さんの中の人です。http://www.hankopla.net

仲野太賀のビジュアル的な解釈【エキセントリックも普通も】

この人を初めて認識したのはドラマ『ゆとりですがなにか』で「ゆとりモンスター」をものすごく強烈に提示していた時で、あの役って程度の差こそあれ「そういえば、あれ的な人は確かにいるよなぁ」っていうキャラクターをストーリーの中にリアルに出現させた最初の試みだった気がするのだけど、それ以前にはテレビドラマに、ああいうタイプの存在って多分登場してしなかったと思うので、きっと参考になる前例とかサンプルなしで台本を読み込んで自分で考えて役作りしたんだと思うわけなんですが僕は即座に「すげーな!」とか「タダモノじゃねーな!」と感服しましたよ。
その後、色々な作品に出ているのを観るようになったわけだけれど、なんていうか役者さんて役の守備範囲っていうのかな、要は受け持つ領域が決まってくるような気がするのだけど、この人の場合は「にくたらしい人」でも「すごくいい人」でも、その背景に「得体の知れなさ」とか「切なさ」とかをリアルに配合させて幅広く深く対応できるチカラがあるっていうのかな、とても巧い俳優さんだと思うわけなんです。
 林 遣都さんとダブル主演する今期のドラマ『初恋の悪魔』でもそれは見事に発揮されていて、主要登場人物の中で一番平凡なのに中心となる難しいキャラクターをガシッと際立たせていると思うんですね。実は平凡な人ってきっと一番むずかしいと思うし。
そういうのって「台本の読解力」とか「物語りが要求するキャラクターへの感受性」とか「それを実体化させる技術」とか、あとやっぱり「俳優としてのプロ意識」みたいなのが必要なやつだと思うのだけど、この人はその辺を「全部のせ」できている役者さんなんだと思うわけなんです。
あ、僕は坂元裕二さんが脚本を書くドラマに好きなのが多い(カルテットとか大豆田とわ子と三人の元夫とか)のだけど、素晴らしい脚本って楽譜みたいなもので、いいプレーヤーがどう解釈して演奏するかで出来映えが大きく違ってくるんような気がするんですね。
そういう「いいプレーヤー」のひとりのポジションにこの人は居るような気がするんだけど、どうすかね?